福祉用具の効果的な利用で転倒を防止 長尾病院(福岡県福岡市)の副院長である浅山滉氏は、「高齢者は転倒によって大腿骨頸部骨折などを引き起こしやすく、それが原因で寝たきりとなり、死亡にまで至るケースが多い」と指摘。
家庭内における高齢者の事故で最も多いのは転倒で、その理由として、敷居などの小さな段差や電気コード、カーペットの端、滑りやすいフローリング、夜間の照明不足などの住環境が関係していると話した。
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また、骨そしょう症や、歩行機能の低下、老化による反応の鈍さ、筋力やバランス感覚の低下などの身体的な要素も関係しており、転倒を防止するにはこれらを改善向上させていけば良いと語った。
具体的には、筋力トレーニングやバランス能力の向上訓練が必要であり、その方法として片脚起立運動やストレッチング、椅子からの起立運動などが有効であると説明した。
住環境を改善するためには、介護保険制度の住宅改修や福祉用具レンタルを利用することを推奨。その際には、ケアマネジャー(介護支援専門員)とOT(作業療法士)が高齢者宅を一緒に訪問して高齢者のADLを分析することが大事だと述べた。
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さらに、ヒッププロテクターやコルセット、足関節装具などの福祉用具を利用することの有効性も強調。なかでもヒッププロテクターは、転倒した場合の大腿骨頸部骨折の発生率を半分以下にし、転倒予防に効果を発揮するという。また、コルセットは腰痛予防のためだけでなく、起立性低血圧を防止したり、身体の動きを脳に伝わりやすくする効果もあるため、転倒防止やふらつき防止にもつながると述べた。
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万一転倒が起こったら、いち早く医療機関に受診し、適切な処置を受けることを浅山氏は勧めた。特に高齢者は意識障害などで痛みの訴えが上手く出来ない場合もあるので、介護者は発見が遅れることのないように注意が必要であるとアドバイスした。
医療機関に対しては、「入院してから数日後に手術を行ったり、術後の安静期間の長い病院がまだまだ多い。それが人工的な廃用性症候群や痴呆を引き起こしている」と浅山氏は指摘。たとえば、大腿骨頸部骨折の場合は人工骨頭置換術を行うことで、翌日から歩行が可能になると言い、術後の安静期間の短縮化が急務であると強調した。
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